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「おはしょり」の理想的な長さとまっすぐ整えるポイント

こんにちは。

今回は着物を着る際に欠かせない「おはしょり」を自分で上手に整える方法についてお話ししたいと思います。

おはしょりとは?

女性用の着物は、身丈にぴったりには作られておらず、身丈より長い寸法となっています。

そのため、着付けるときには「腰ひも」を結び、着物の長い分を腰に持ってきて腰回りの部分で整え、その上から「伊達締め」「帯」を付ける必要があります。

このたくし上げた部分、これが「おはしょり」です。

おはしょりは女性の着物独特なもので「どれくらいの長さ(幅)が適切なのか?」「まっすぐ整えることができない」など、着付けの際に悩まれた方も多いでしょう。

一見「なぜあるのか?」「いらないのではないか」と思われてしまうおはしょりですが、その背景や役割を知ることに上手に整えるためのポイントが隠されています。

では、まずおはしょりが生まれた歴史的な背景からみていきましょう。

おはしょりの歴史

江戸時代 初期

古くから日本人が身に着けて来た着物ですが、江戸時代の初期までは、まだおはしょりはありませんでした。
着物は男性も女性も、対丈(身丈とぴったりの丈)で着られていました。

同じ時代でも、将軍家に仕える大奥の正室や子女などの身分の高い人は、丈の長い着物を、裾を引きずるように着ていました。しかし、長い着物をそのまま着ていたというだけで、やはりこちらもおはしょりはありませんでした。
これは、身分が高いので身の回りの世話などは女中がしていたため、あまり動く必要がなく、優雅に暮らせるからだったと思われます。

反対に毎日働いたり、行動的に動いたりしなければならない庶民の女性は、裾が長いと不便なので、対丈だったと考えられます。


江戸時代 中期

しかし、江戸時代の中期頃から庶民の女性もその姿を真似てか、おしゃれのためか、着物の裾を長くする人が増え、家では裾を引き、外に出るときは長い部分をたくし上げて着ていました。

このスタイルは、現在は舞妓さんで見ることができます。


明治時代

そうして明治時代に入り、明治維新後に女性の社会進出が進み、活動的に動く女性が増えたため、着物の長さを動きやすいように調整する「おはしょり」が生まれました

ちなみに、おはしょりの名前の由来は「端を折る」「はしょる」からきています。

このような背景で生まれたおはしょりですが、いまだに存在するのには、やはり合理的な理由があります。

次から、おはしょりの役割についてお話しします。

おはしょりの役割

多少短くなっても着付けられる

まず、着物はずっと着ていると、裾が擦り切れてしまうことがあります。
なかなか気軽に新しいものを買えなかった庶民は、擦り切れた裾を切ってまた仕立て直して着ていました。おはしょりがあれば、多少短くなっても同じように着付けることができます。


多少身長が合わない人にも着付けられる

そして、着物は多少身長が合わない人にも着付けることができます。
これも自分の着ていた着物を子供や孫に受け継ぎ、着せるときに、おはしょりで長さを調節ができたためです。


前後の高さを調整できる

また、女性は着物を着るときに後ろの衿を抜きますが、そうすると後ろの裾が下がりやすくなります。そして前の裾は、バストがあるので上がりやすくなります。
おはしょりがあると、こうした前後の高さも調節することができるのです。

このようにとても便利なおはしょりですが、着付けるときに斜めになってしまったり、ぼってりとしてしまい太って見えてしまったりと、なかなかうまくできないという方も多いかもしれません。

次におはしょりを上手に整えるコツについてお話しします。

おはしょりを整えるコツ

斜めになってしまう場合

これは下前の裾を上げて着付けることが多いため、裾のラインが斜めになることによりおはしょりも左下がりに斜めになってしまいます。(自分から見た場合)
これを解消するには、腰ひもを、左側を高く、右側を低くと斜めに結ぶようにするといいです。後述しますが、腰ひもを高く結ぶとおはしょりが短くなりますので、着物の裾のラインに合わせて腰ひもを結ぶことで、おはしょりが真っ直ぐになりやすくなります。

ぼってりと見えてしまう場合

着物のたくし上げた部分を、すべておはしょりに入れてしまうと、生地が重なって厚くなり、ぼってりとして野暮ったい印象になってしまいます。
これは、下前のおはしょりを下に降ろさず、胸の部分で内側に折り返しそこに入れ込んでしまうと、おはしょりの部分の生地が1枚になるので、スッキリと着ることができます。

理想的なおはしょりの長さ。

理想的なおはしょりの長さは、5~6cmといわれています。
おはしょりが長くなってしまう場合は、腰ひもを通常より高く結ぶと、解消しやすくなります。
それでもまだ長い時は、上前を持ち上げ、折り畳んで伊達締めの中に入れてしまいます。
逆に短くなってしまう場合は、腰ひもを低く結びましょう。

コツ
腰ひもが高い=おはしょりが短くなる
腰ひもが低い=おはしょりが長くなる

この法則は、覚えておくと便利です。

たまに、おはしょりが帯の下でシワになっている方を見かけます。
これを解消するには、おはしょりの処理の時にシワがないよう伸ばしておくのはもちろんですが、帯を結んだあと、帯の下側に右手を入れ、スーッと横にスライドさせることで、シワをなくすことができます。

これらのことを、悩み別に実践されると、おはしょりをきれいに処理することができるようになりますよ。


いかがでしたでしょうか。

おはしょりの歴史と役割、着付けのコツについてお話してきました。

着付けるのにちょっとコツがいりますが、慣れてくれば上手にできるようになりますし、おはしょりがきれいに整えられている着物姿は、スッキリと美しく見えます。

そして何よりおはしょりがあることで、着物を長く大事に持ち続けることができ、次世代にも引き継ぐことができるという、日本の着物の素晴らしさを改めて実感させられますね。