着物のクリーニングのプロにお聞きしました
関口さん(きはだや)
新潟県十日町市に居を置く染織工房きはだやの関口です。
きはだやは長らく糸染め、織物の製造、販売に携わってきました。
もちろん、染織は現在もきはだやの生業です。
50年を越えて仕事をしてきましたので、どこかで染織工房きはだや」ののれんを見たことがあるお客様もおられるかもしれません。
長らく小売りの現場にいたのでお客様から仕立てやシミ抜きなど様々な質問や依頼を受けることがありました。
お客様のそんな要望に応えようとしているうちに悉皆、ことごとがわかる様になり、自社内で加工を手がけるまでになりました。
意外とやればできるものです。
また悉皆と云う多くの工程の中では意外と得手、不得手があるものです。
幸い十日町には製造、仕立て、洗い、悉皆様々な機能が集まっており、どの職方さんもこの地域の方らしく正直で丁寧な仕事をしてくださいます。
全て自社で手がけるよりも、時には上手な職方さんのところに振分ける方がうまくいきます。
そうした振り分のノウハウも積むことができました。
また職方さんは素材や悉皆には詳しいですが、「きものを着る」ことについてはあまり知らなかったりもします。
お客様から直接きものの不便を聞くこと、それをこの十日町の職方に依頼することできっとその不便を解消できるのだと思います。
どうぞご利用お待ちしております。
着物の「汗抜き」とは
「汗抜き」は、着物に付着した汗や皮脂汚れを除去するためのクリーニング方法です。汗や湿気が原因でシミや変色が起こりやすいので、適切な汗抜きは着物の寿命を延ばすために重要です。
汗は「水溶性」なのでドライクリーニングの溶剤では落ないものです。
きはだやの汗抜き加工は背中、胴回りを薄めの洗剤をささらに付けて洗います。
その後に蒸気アイロンをかけます。きものの生地から汗や汚れを叩き落とすようにして高圧蒸気をかけます。
汗抜きと丸洗いの違い
着物の汚れには「水溶性」と「油性」のものがあります。
汚れの種類 | クリーニング方法 |
---|---|
汗・皮脂(汗染み) | 汗抜き |
ファンデーション・油汚れ | 丸洗い |
食べこぼし・泥汚れ | シミ抜き |
「汗抜き」だけでは落とせない汚れがあるため、状態に応じて最適なクリーニングを選びましょう。
汗抜きの工程
それでは、どのようなステップで汗抜きされるのか見てみましょう。
1. 事前チェック(汗の確認)
まず、着物に汗染みや汚れがあるかどうかを確認します。特に、脇の下、背中、襟元、袖口など、汗が溜まりやすい部分を注意深くチェックします。
汗の成分は透明な場合もありますが、時間が経つと黄ばんだり、繊維にダメージを与えることがあります。
2. 前処理(しみ抜き)
汗の成分は水溶性なので、特定の箇所に強く染み付いている場合は、部分的な染み抜きが行われることがあります。この作業には専用のクリーニング剤が使われ、水溶性の汚れを効果的に分解します。
必要に応じて、専用の染み抜き剤を綿棒や布で塗布し、汚れを浮かせます。
3. 水または蒸気による洗浄
汗は水溶性のため、専用の蒸留水や水分を使って汗染みを除去します。部分的な汗抜きの場合、蒸気や布を使って汗を取り除くこともあります。
このとき、着物の素材に合わせて、慎重に行う必要があります。シルクなどのデリケートな素材は、水分を多く使いすぎると形が崩れたり、シワが残る恐れがあります。
4. 乾燥
汗抜き後、着物を自然乾燥させます。直射日光を避け、風通しの良い場所で陰干しすることが一般的です。乾燥工程が重要で、湿気が残ると再びシミや臭いが発生する可能性があります。
5. アイロン仕上げ(場合による)
汗抜きによってシワができることがあるため、必要に応じて低温のアイロンで仕上げを行います。この際、アイロンを直接かけるのではなく、当て布を使って慎重に形を整えます。
6. 最終チェックと梱包
汗抜きが終わったら、再度全体を確認し、汚れがしっかりと取れているか、シミがないかをチェックします。問題がなければ、着物を適切に梱包します。
着物の汗抜きはどのくらいの頻度が必要?
「どのくらいの頻度で汗抜きをすればいいの?」 という質問をよくいただきます。
- 夏場や汗をかいたとき → すぐに汗抜き するのが理想
- 1シーズンに1回(特に絹素材は要注意)
- 数回の着用後に丸洗い+汗抜き もおすすめ
特に 夏の着物や浴衣は、汗抜きが必須 です。時間が経つと シミが落ちにくくなる ため、定期的なメンテナンスが大切です。
また、汗抜きと合わせて 着物の定期的な点検 を行うことで、早い段階でシミやダメージを発見し、適切な対処ができます。大切な着物を長持ちさせるためにも、日頃のケアを心がけましょう。
<参考>
